福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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原発と米軍基地

『部落解放』2018年12月号

 

 沖縄県知事選挙で、玉城デニーさんが勝利した。ほんとうにうれしい。私自身、多くの人と辺野古に新基地を建設させないためにがんばってきた。沖縄の未来が新基地建設で開かれるとは思えない。人々の民意がもっと反映される政治や社会をつくりたいとつくづく思う。
 政府は、行政不服審査法にもとづいて国土交通省に不服審査を求めた。もともと行政不服審査とは、市民が行政に対して行うものである。防衛省と国土交通省では、現在のところ、辺野古の新基地を建設するということで一致している。閣内一致である。だとしたら、不服審査を求めても政府内部の出来レース、答えはハッキリしている。不服審査の制度がこのように使われることは問題である。
 福島東電原発事故に関して、現在、東京地方裁判所で、東電幹部三人の刑事裁判が行われている。高い津波がやってくるという予測があり、対応を取るべきであったのに、津波対策を取らなかったことで、まさに原発事故を起こし、多くの人が避難の過程などで亡くなってしまったのではないか。そのことが争点である。
 さまざまな指摘が行われてきたが、それらを無視して、原発の運転を強行してきたことの結果が、あの福島東電原発事故ではなかったか。
 辺野古の新基地建設についても、地盤の問題や環境の問題などが指摘されている。  恒久的な基地を造ってくれるな、これ以上の基地負担はごめんだというのが、多くの沖縄の人たちの気持ちである。  原発と米軍基地は違うところもあるが、似ているのは差別の構造である。原発が立地されているところに行くと、多くは三方が海に囲まれた半島で、風光明媚で、魚がおいしいが人口は少ないところが選ばれている。東電は、自分の領域である関東には原発を造らなかった。福島と新潟である。
 戦後、日本のさまざまなところに存在した米軍基地。その地域で、性暴力の事件が発生したり、騒音を含めた問題が起きる。地元の反対が活発化し、いくつかの米軍基地が沖縄に移転する。もちろん、米軍基地は本土にもあるが、その七十数%が国土の〇・五%の沖縄に集中させられる。
 米軍基地がなくなった地域の人にとってはよかったが、米軍基地の被害は、逆に沖縄に行き現地で実情を見聞きしないかぎり、見えにくくなった。沖縄の人たちの、これ以上我慢を強いないでくれという思いはそのとおりである。  原発と米軍基地は似ているが違うところがある。原発は、地元の自治体が同意しなければ、建設したり稼働できない。この自治体の範囲を広く取るべきだという裁判も起きている。
 しかし、米軍基地は違う。銃剣とブルドーザーで建設され、同意などないのである。そして、辺野古の新基地建設についていえば、何度も何度も民意は示され、翁長知事、玉城デニーさんをはじめ、沖縄県から何度も意見書が出されている。原発と違って米軍基地については、自治体は無視されている。  これは、地方分権の観点からもほんとうにおかしい。自分たちのことを自分たちで決められない。このことを変えていかなければ、民主主義などないことになる。
 ところで、民主主義をどうつくっていくか。
 沖縄では、無党派の七割、自民党、公明党支持の二割から三割がデニーさんに投票したといわれている。保守といわれる人も含めて大いに語り合い、話していこうではないか。そういえば、翁長知事は、自民党の幹事長をつとめ、堂々たる保守政治家であった。
 沖縄でこんな話を聞いた。おばあが家の中でデニーだといい、孫もそうするといっていた。しかし、孫は期日前投票に会社ぐるみで連れていかれ、思わず相手候補の名前を書いてしまった。家に帰ってきて、そのことをおばあに話すと、おばあは怒る。「デニーと書くといってたじゃない」というわけである。ガンガン言い合うことになった。このガンガンということがいいことではないか。私たちは、家で、組合で、NGOで、サロンで、街角で、居酒屋で、ガンガン話そうではないか。そんなかたちでしか民主主義はつくっていけない。だれかリーダーがやるのではない。一人ひとりが、話し、動き、働きかけ、未来をつくっていこうといいたい。




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